市場縮小が止まらない陶磁器業界

陶芸

20年ほど前と比べると、焼き物は本当に売れなくなりました。

言うまでもなく多くの世帯は、既に食器を持っているのでよほど器好きな人でないと、割れない限り買い足すことはそうそうないと思います。

昔のように親戚が大勢集まり一緒に食事をする機会も減っていますし、単身世帯が年々増えており、食器は100ショップなどで必要最低限だけ揃え、料理を作るのが面倒な時はコンビニ弁当で済ませる人も少なくないですよね。

実際私が1人暮らしをしていた時も、仕事で帰りが遅いと食器を洗うのってものすごく煩わしいので普通に鍋のまま食事をしておりました。

そもそも日本は人口が減っているため、多くの産業で市場が縮小するのは当然です。

 

 

経済産業省「生産動態統計年報」によると、

陶磁器(飲食器)の生産額は、1990年頃をピークに右肩下がり減少しており、1991年に約1300億円あった出荷額が、2017の調査では約250億円にまで落ち込んでいます。
※従事者10名以上の事業所統計

陶磁器出荷額の全国シェア約5割占める美濃焼は、1300年の歴史があり、大量生産型で全国の陶磁器産地をリードしてきましたが、1991年と2014年を比べると出荷額、事業所数ともに約70%減少しているそうです。

特に、原料会社から商社まで集積している分業・フルセット型の産地は、専門の事業所が1つでも廃業すると、他のところも煽りを受けて次々に潰れることもあるようです。
これは、美濃焼や有田焼などの大量生産型の産地に限った話ではなく、砥部焼のような少量多品種生産型の産地にも及んでいます。

2011年の工業統計によると、

・出荷額:約7.7億円
・事業所数:約90軒
・従業員数:約235人

砥部焼は、磁器創業240年の歴史がある伝統工芸品で、四国ではナンバーワンの産地ですが、全国的にみると規模も小さく知名度も低いです。ほとんどの事業所が1~5人程度の家内工業的生産で、従業員が10人以上いる事業所は3社程度にとどまっています。

砥部焼の出荷額は、1988年がピークでその頃は約20億円あったみたいですから、半分以下にまで減っていますね。恐らく、出荷額は上位10社ぐらいが過半数を占めており、1人で営んでいるようなところは、本当に厳しい状況だと感じます。

砥部焼の強みは、成形から焼成までそれぞれの窯元で一貫して生産している事と、全ての窯元ではないですが手作り手描きだということです。

そのようなところや砥部で採れる良質な土などの素材も、もっとアピールしてブランド力をつけて何とか生き残らないといけません。

 

 

産地の状況をみても市場が縮小している明らかですが、主要陶磁器メーカーの2018年3月期決算を見たところ以下のような数字でした。

ノリタケ:連結売上高/1240億円 食器事業売上高/87億円(営業損失8億円)
ニッコー:連結売上高/139億円  食器事業売上高/22億円(営業損失1.8億円)
鳴海製陶:連結売上高/81億円    食器事業売上高/不明(営業利益2億円)

※鳴海製陶は2014年に石塚硝子の子会社になったため、決算書を見ても食器事業の内訳が不明でした。

ノリタケカンパニーリミテド(世界最大の陶磁器メーカー)は圧倒的な存在で、連結売上高は約1240億円です。その他のメーカーも売上高が100億円前後。もはや、そこら辺の陶芸家が束になっても太刀打ちできません。

ところが食器事業に関しては、2社で数億円赤字……

大企業が苦戦を強いられるほど飲食器は低迷しており、利益が出ている他の事業で補ってはいるものの完全に足を引っ張っている状況です。

陶磁器製造の中小零細企業は、大企業と比べると売上高自体が低いので、ここまで損失が出ることはないと思いますが、会社の規模を問わず厳しい産業だということが伺えます。

この他にも、原料問題、中国製品の影響、後継者不足、など様々な問題があり、今後陶磁器業界がどうなっていくのか全く予想できません。

今までみたいに「いいモノさえ作っていれば必ず売れる」というのは段々難しくなってきているので、もっと多角的な視点で考え、伝統を守りつつ新しいモノを生み出さなければいけませんね。

1人でも多くの方に、暮らしを豊かにする器をお届けできたらなと思います。

 

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