陶芸でろくろ成形(水挽き)を習得すると何がいいのか!

陶芸

陶芸の成形技法は、ろくろをはじめ排泥鋳込み、圧力鋳込み、タタラ成形など数多くあり、その中でもろくろは最もポピュラーな技法です。
ちなみにみなさんが毎日使っている便器は、圧力鋳込み成形で大量に作られています。

 

しかし、プロの陶芸家でもろくろの良さを理解している人は少ないように感じます。特に皿や急須のようなろくろでは難しいものは、割と手仕事が残っている砥部でも石膏型を使っている人の方が多いくらいですからね。

そこで今回は、ろくろ成形を習得すると何がいいのかというのをご紹介したいと思います。

 

 

ろくろは場所を取らない

機械ろくろや鋳込み系の仕事は石膏型を使います。

石膏型を使うとやはり場所を取ってしまいますね。何でかと言うと、たった1種類の器を作るのにも数十個から数百個の型が必要になってくるからです。(型から抜くまで時間が掛かるので少ないと生産性が落ちるのと、一度使った型は少し乾かさないと2回目以降の器が抜き出しにくくなるため)

いくら優れたものを作っていると言えど、さすがに1種類だけじゃ当然飯は食えませんよね。独立したばっかりで最初のうちは少なくても、50種類100種類と商品数を増やしていくことになります。

 

だから、全ての商品を石膏型を使う成形技法にするのは限界があります。「俺の工房は広いからどんなものでも何個でも置ける」って方ならいいですよ。

型だけならまだしも、成形する機械を導入しなければなりません。陶芸用の機械というのは大型のものが多いので、これもまた場所を取ります。さらに、効率よく生産するには型をたくさん並べられる広い作業台も必要。

 

それに対してろくろ成形は「電動ろくろ」という機械だけで器を作ることができます。サイズはホテルに置いてあるような小型冷蔵庫と同じくらいなので場所を取りません。畳2枚分のスペースがあれば十分です。

 

 

ろくろは費用対効果が高い

電動ろくろの価格は、おおよそ10万円~30万円です。

頑張って貯金すれば買える値段ですよね。一般的なローラーマシン(自動成形機)だと約500万円、タタラ機でも約70万円ほどします。もちろん、機械の性能やサイズによって価格は違いますが、プロが使うものは決して安くありません。

電動ろくろの価格に幅があるのは、パワーやターンテーブル(ろくろ盤)などの違いです。価格が高いものはパワーが強くターンテーブルの直径が大きいので、その分大きい器を作ることが可能。パワーがないろくろで大きいものを作っていると、回転が止まることがあるんです。まぁ10万円の電動ろくろでも普通に使えますけどね。

 

たとえばあなたが型の仕事をメインでしているとして、取引先から(こういう形のものをこのサイズで作ってほしい)という依頼があった場合、まずは器の図面を引いてそれを石膏型製作会社に見せ、型を作ってもらわなければなりません。

製型所は図面通りに作ってくれますが、完成した型で実際に器を作ってみると、微妙にサイズや造形が違うなどの不具合があったりします。なので、いくつも型の試作品を作っては試し、作っては試しでようやく製品化できるレベルの石膏型が完成します。

 

型は練習すれば自分でも作れますが、思い通りに作れるようになるには、これもまた技術が必要なのでプロにお願いするのが一番。そのように苦労の末、完成した型を使う仕事が、年にたったの10個とかだとしたらどうでしょう。採算が合いませんよね。

飲食店から数百個の注文が来て、せっかく型を作ったのにそれっきり注文が来ないなんてことはよくあります。汎用性のない特注品ならなおのこと。永続的に売れる商品を目指して作らないと、せいぜい石膏型代を回収する程度で終わってしまいます。

 

利益を出そうとすれば、ある程度注文が見込める商品でなければなりません。やみくもに作っても大量の石膏型が倉庫に眠るだけです。

ろくろは型の代わりに「トンボ」や「コテ」という道具を使い正確な寸法を出します。これは自分でも簡単に作れ、ホームセンターに売っているような木材(樫、ヒノキ等)でいいので材料費もそれほどかかりません。だから、ろくろは設備投資の費用を抑えられる上に、技術さえあれば臨機応変に様々な形の器を作れるため、費用対効果が高いのです。

 

しかも、メンテナンスはベルトが摩耗すれば交換する程度なので数千円で済みますし、電動ろくろ自体、大事に使えば30年以上は持つものなので買い替えることも少ないです。

ということは開窯してもリスクが低いということ。何年頑張っても成果がでなければ撤退しないといけないので、その時のダメージが少ないです。

 

 

ろくろを習得すればどんな形の器でも作れる

先ほども書きましたが、ろくろは技術があればどんな形の器でも作れます。

恐らくみなさんが陶芸家と聞いてイメージするであろう「壺」も当然作れますし、楕円や四角の器などもろくろでベースが作れます。

ろくろだけでもほとんどの日常食器を成形できますが、別の技法と組み合わせることで、さらに表現の幅が広がります。たとえばろくろで鉢を成形し、その後ある程度乾かしてから八角形の押し型を使うと、八角形の鉢ができるわけです。

 

しかしながら、ろくろはすぐにできるようにはなりません。技術が未熟な場合は鋳込み等の仕事をした方が手っ取り早く、それなりのものが作れます。だから、収入を得るためにはろくろ以外の成形技法を取り入れるのも一つの手です。

人にもよりますがおおよそ10年は練習しないと、ろくろの仕事を売りにはできないでしょう。まぁ練習というより実務経験ですね。つまり、誰に見せても恥ずかしくない仕事を10年くらいやれば、ホントそれだけで飯が食えますよ。

 

陶芸については、以前の記事でも詳しく書いておりますのでぜひご覧ください。

 

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ろくろを習得すれば陶芸教室の先生ができる

人に教えるのが苦手かどうかは別として、自分にスキルがあればそれを誰かに教えられますから、陶芸教室の先生ができます。

工房で教室を開いている先生も多いですが、最近は学校やカルチャースクールなどに呼ばれて教えに行く、出張スタイルも多いですね。

 

陶芸教室をやると、人に教えることで自分の勉強にもなりますし、月謝をいただけるので生活の足しになります。やり方次第では本業より稼げるかもしれません。

生徒さんを100人も集めれば自分の作品を売るより確実に儲かるでしょうね。

 

 

ろくろを習得すれば他の技法でも活かせる

ろくろやタタラ成形などは、補助してくれるものが一切ありません。ほんの少し油断しただけで、如実に作品に表れます。

筋トレでたとえると、ダンベル、バーベル等を使う、フリーウエイトトレーニングのような感じですね。マシンを使うトレーニングは補助してくれているので、初心者でも安全かつ効果的に筋肉を鍛えることが出来ます。

 

要するに、自分の技術はもちろん、あらゆる状況によって最終的な出来栄えが良くも悪くもなりますから、補助がない分そのことで経験値が豊富になり、他の技法で何らかのトラブルが発生したときに解決策を導きやすいのです。

実際私もろくろをやっていたことで、それを活かせた事が多々ありました。また、トラブルの解決だけでなく、ろくろの経験をもとに新たな器を生み出すこともできます。

 

 

まとめ

【ろくろをすると良い5つのこと】

1.ろくろは場所を取らない
2.ろくろは費用対効果が高い
3.ろくろを習得すればどんな形の器でも作れる
4.ろくろを習得すれば陶芸教室の先生ができる
5.ろくろを習得すれば他の技法でも活かせる

 

ろくろは、ものすごくシンプルなので一言でいうと臨機応変に対応ができるということですかね。ろくろは陶芸の基本ですし、シンプルがゆえに奥が深いです。

だから頑張って技術を身に付けなければなりません。陶芸に興味のある方や陶芸家を志している方は、ぜひろくろにチャレンジしてみて下さい。