松山市の水族館建設計画について考える【問題点】

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どうやら松山市中心部に水族館が建設されるみたいですね。

伊予鉄道、伊予銀行、フジ、三浦工業などの愛媛のトップ経済人らが参加した発起人会では、道後温泉本館の耐震補強工事に伴い観光客の減少を最小限に抑えるため、2019年度内に基本構想をまとめ、県や市に支援を要望するという話し合いが行われたようです。

 

いつもと比べて動きが早いですし、松山市も意欲的な姿勢なので、恐らく近いうちに建設されると思います。

まぁ私も行くか行かないかは別として、集客力のある水族館が愛媛県にできるのはとても楽しみであり、地域の活性化に繋がるような施設を建ててくれるのであれば大賛成なのですが、問題点がいくつかありますね。

 

 

水族館の水問題

松山市は言わずと知れた「水不足王国」です。愛媛の東予・中予地方と香川県は、全国的に見ても雨があまり降らない地域で、日照りが続く夏場になると取水制限が実施されることが多いのです。

四国の中でも高知と徳島はよく雨が降るみたいですが、四国山地を隔てているだけでこうも違うものかというくらい、愛媛と香川は本当に降りません。

 

1972年に竣工した石手川ダムは、計画時に、将来松山市の人口は最大でも37万人程度にしかならないであろうと予想されていたため、近年の50万弱の人口を賄える規模ではありません。だから、降水量が少ないとすぐに水がなくなります。人が生きていく上で最も重要な「水」が近隣の水源で賄えないのは、都市として致命的な欠陥です。

 

お隣の水資源が豊富な西条市も松山分水を猛反対していますし、もはや地道に節水を呼び掛けるしか対策はなさそうです。人口の多い松山市に分け与えたら、水が少なくなり水道代が無料じゃなくなるのを恐れているのでしょう。※西条市は石鎚山系からの「うちぬき」と呼ばれる地下水が豊富で、一定の地域で上水道代が無料

まぁ他にもいろいろ理由はあると思いますが、私は、西条市が反対するのは至極当然のことだと思いますよ。市民の立場からすると、自分の土地の問題は自分たちで解決しろって感じですかね。

 

水族館を建てるとなれば、多少なりとも補助金を使うわけで、その金があるのなら重信川や石手川ダムを何とかした方がいいのではないかと、西条市から率直な疑問が湧いても不思議ではありません。「松山市は水は湧かないが疑問は湧く」と揶揄されるのがオチですね。

そんな水不足で毎年頭を悩ませている松山に水族館を建設して、水槽の水はどうするのかという問題があります。水族館の水を確保する方法は以下の3つです。

 

 

水槽を満たす手段

1.海や川からパイプを引いて直接給水する

2.海や川の水をトラックなどで輸送する

3.人工海水を作る

 

市内中心部(県民文化会館の前)が建設予定地なので当然ながら(1)は無理ですね。(2)の方法も輸送コストがかなりかかるため、現実的ではありません。というか採算をとるのは極めて難しくなります。

通常の水族館は1日あたり総水量の約10%を入れ替えなければならず、平均輸送費は1トンあたり約5千円と言われているので、京都水族館の約3,000トン(飼育エリア)を例にした場合、1日あたり150万円もの輸送費がかかります。

 

1年間だと輸送費だけで約5.5億円ですよ。なぜ、それほどの量の水を入れ替えないといけないのか。それは、飼育されている魚のエサの残りや排泄物ですぐに汚れてしまうからです。そのまま放置すると、病気にかかって死んでしまうんですね。だから、必然的に(3)の方法しか残されていません。

 

内陸部で最近建設された水族館でいうと「京都水族館」や「すみだ水族館」は、100%人工海水で水槽を満たしています。

人工海水のいいところは、コストを大幅に抑えられることです。大成建設が開発した人工海水技術は、高性能なろ過システムで知られており、なんと水の入れ替えを1%以下にまで抑えられる画期的なシステムです。

 

これなら水不足の松山市でも可能性があるのではないでしょうか。ちなみに、松山は水道料金が高いというデマがネット上で流れておりますが、そんなことは一切なく、他の中核市、政令市と比べても平均的な料金です。

高いと言っている人は、単純に水道の使い過ぎか、水漏れに気づいていないだけだと思います。

 

 

敷地面積の問題

建設が計画されている場所は、松山市南町の県民文化会館前の土地です。敷地面積は約6,200㎡で県有地です。現在は駐車場として使われています。

う~ん狭い。狭すぎる。サッカー場が約7,200㎡なのでそれより1,000㎡も狭いということです。こんなところに水族館って、子供だましのものしか建てられないでしょうね。

 

敷地面積のギリギリまで建物を建てられるんだったら別ですよ。でも建ぺい率でめいいっぱいは建てられませんし、目の前に路面電車の停留場はありますが、より多くの人に利用してもらうには数百台が収容できるレベルの駐車場が必要ですから、建築面積は自ずと小さくなります。

ただ、2階建て以上にするのであれば、収益が見込める可能性があります。あの土地は商業地域で、建ぺい率が80%、容積率が500%です。※建築基準法等の例外は除く

 

駐車場と建物の面積をちょうど半分にした場合、建築面積が2,480㎡なので、1階建てでは採算が合わないと思います。

幸いなことに容積率が500%ですから、延べ床面積が31,000㎡までなら大丈夫です。つまり、駐車場と水族館の一体型なら6階建て(29,760㎡)くらいまでなら建てられます。まぁ一体型にするのはちょっと無理そうですが……

 

私の考えでは1,500㎡を5層6段の自走式駐車場(9,000㎡、約360台収容可能)に使い、残りの3,460㎡を3階建て以上の水族館(10,380㎡)にすればたくさん人も呼べ、全国の水族館と比べても引けを取らない規模なので十分やっていけると思います。カフェやレストラン、広場なども併設されるといいでしょう。

というか、そもそもなぜ梅津寺パークの跡地に作ろうとしなかったのか謎ですね。あそこなら直接海水を送れますし、敷地面積も約39,000㎡と広大な土地で、しかも駅がすぐ側にあります。ちょっと前にサッカー場にされてしまったので、もうあそこに建てるのは厳しいでしょうね。

 

絶好の場所だったのに、伊予鉄道は非常にもったいないことをしました……(梅津寺パーク跡地の土地は伊予鉄道が所有)

 

 

水族館を建てたからといって地元民や観光客に喜ばれるわけではない

やみくもに水族館を建設しても一部の人しか喜びません。県・市は、民設民営を条件に支援するようですが、税金を使うのであればしっかり収益が見込めて、とべ動物園のように誰からも愛される施設を建てるべきです。

他の記事で何度も言っていますが、松山市は何をやっても中途半端な上に計画性がなく、PRも上手ではありません。今回も中途半端な計画案が通り、しょうもない小屋を建てるのが目に見えています。誰にも関心を持たれないものを作って朽ち果てていくのを見るのはとても辛いです。

 

私は、そうなって欲しくないからこのような文章を書いているわけで、市民や県民が地元を誇りに思う施設を作って欲しいのです。お隣の香川県では来年四国最大級の水族館ができようとしています。

はっきり言ってこれより規模の小さいものなら必要ありませんし、「行ってみたい」と思われるような売りがないと人を集めるのは難しいです。しょぼいならない方がマシです。

現状のまま駐車場として使うか、普通にマンションや商業施設でも建てた方がいいのではないでしょうか。「今度こそはまともな施設を建ててくれると」信じたいと思います。